名古屋地方裁判所 昭和59年(わ)2580号 判決 1985年3月07日
本店の所在地
名古屋市中川区春田三丁目二〇五番地
法人の名称
三友商事 株式会社
代表者の住居
名古屋市中川区春田三丁目二〇五番地
代表者の氏名
弓長加代子こと 鄭加代子
国籍
韓国(慶尚北道聞慶郡加恩面鵲泉里五七九番地)
住居
名古屋市中区春田三丁目二〇五番地
会社役員
弓長加代子こと鄭加代子
一九三九年一一月八日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宇田川早苗出席の上審理して、次のとおり判決する。
主文
被告人三友商事株式会社を罰金二、〇〇〇万円に、被告人鄭加代子を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人鄭加代子に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人三友商事株式会社(以下「被告会社」という。)は、名古屋市中川区春田三丁目二〇五番地に本店を置き、遊技場の経営等を業とするもの、被告人弓長加代子こと鄭加代子は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人鄭は、被告会社取締役弓長秀僖こと張琪泰らと共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外する方法により所得の一部を秘匿した上、
第一 昭和五六年一〇月一日から昭和五七年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億一、四一六万二六九円で、これに対する法人税額が四、六九二万四、〇〇〇円であるのに、昭和五七年一一月二九日、同区尾頭橋一丁目七番一九号所在の中川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が四、〇〇三万九、〇〇七円で、これに対する法人税額が一、五七九万三、一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により右正規の法人税額と申告税額との差額三、一一三万九〇〇円を免れ、
第二 昭和五七年一〇月一日から昭和五八年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億八、二八一万三、一一九円で、これに対する法人税額が七、五七三万二、四〇〇円であるのに、昭和五八年一一月二九日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が七、一三七万五、六五〇円で、これに対する法人税額が二、八九二万八、五〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により右正規の法人税額と申告税額との差額四、六八〇万三、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人鄭の当公判廷における供述
一 被告人鄭の検察官に対する供述調書
一 被告人鄭の大蔵事務官に対する質問てん末書八通
一 張琪泰及び鄭元基の検察官に対する各供述調書
一 張泰(二通)、鄭元基、李哲鎬(二通)、浅野雅也及び高瀬清保の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一 登記官春田武作成の登記簿謄本
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(記録証第一六四号)及び証明書(記録証第一四三号)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(記録証第一六五号)及び証明書(記録証第一四四号)
(法令の適用)
罰条 被告会社の判示各所為につきいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項、被告人鄭の判示各所為につきいずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項
刑種の選択 被告人鄭の判示各罪につきいずれも懲役刑
併合罪加重 被告会社の判示各罪につき刑法四五条前段、四八条二項、被告人鄭の判示各罪につき同法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予 被告人鄭につき刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 服部悟)